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「アレルギーの撲滅を目指した次世代型診断および治療技術の開発」河本 正次

研究内容の写真Kawamoto.jpg スギ花粉症、ダニによる気管支喘息や通年性の鼻炎、あるいはアトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患は日本人の3人に1人以上が罹患する深刻な国民病ですが、現行の医療技術ではその急増に全く歯止めをかけることができていません。私達の研究グループでは、広島県特産・牡蠣のむき身作業員にかつて頻発した職業性喘息の原因となるアレルゲンを発見すると共に、これをもとに有効治療率100%・副作用例ゼロという、世界的にも突出した治療成績を誇るアレルギーワクチンを開発することに成功しています。私達はこの経験をスギ花粉症とダニアレルギーに対する革新的診断・治療技術の開発へと応用展開すべく、両アレルギーの引き金となる原因アレルゲンの全容を解明すると共に、国内ではオンリーワン・世界でも有数のアレルゲンライブラリーを整備しています。現在、これらのアレルゲンを用いて、患者さんごとに異なる原因アレルゲンを個別診断できる次世代型のアレルギー分子診断システムの開発を進めると共に、乳酸菌などの食品発酵微生物にアレルゲンをワクチンとして搭載した「食べるアレルギーワクチン」の創薬研究などを進めています。更に、私達の日頃の食生活を通じてアレルギーを予防できないかという目標のもと、抗アレルギー作用を有する機能性食品成分を広く探索すると共に、当該成分によるアレルギー予防機序の解明にも取り組んでいます。

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「疾患で変化する糖鎖構造の探索と機序解明→糖鎖バイオマーカーを診断に応用する」
中の 三弥子

研究内容の写真Nakano.jpg タンパク質の翻訳後修飾の一つである糖鎖付加は、糖転移酵素群と糖分解酵素群の協奏的な働きによって行われるため、疾患ではこれら酵素群の働きのバランスが崩れ、健常とは異なった糖鎖構造を持つようになります。その異なった糖鎖を質量分析で探索し、その疾患が早期に診断できる糖鎖バイオマーカーの開発を行ってきました。最近では消化器癌の腫瘍マーカーの開発を行いました。血液中のタンパク質の糖鎖構造を結合部位特異的に解析することにより、膵臓癌患者血液中で劇的に増加している糖鎖を発見することができました。それはハプトグロビンというタンパク質の207番目のアスパラギンに結合しているフコースを2つ持った糖鎖でした。現在、その増加した糖鎖の機序を解明する実験をしています。また、癌細胞の抗癌剤の効果が診断できる耐性マーカーの開発も行っています。細胞表面の糖鎖構造を網羅的に解析することにより、白血病細胞が抗癌剤耐性獲得で著しく減少する糖鎖を見つけることができました。それは全ての膜タンパク質のα2-6シアル酸を持った糖鎖でした。現在、α2-6シアル酸を持った糖鎖の減少と耐性獲得の因果関係を調べています。また、癌以外では、COPD(慢性閉塞性肺疾患、通称タバコ病)やアルツハイマーのバイオマーカー開発や機序解明を他機関の共同研究者とともに行っています。このように血液中のタンパク質や細胞表面の糖鎖の構造を詳細に解析することで、様々な疾患の診断が出来たり、薬剤の効き目がわかるようになると考えています。


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